2013年1月16日水曜日

アメリカ留学の基礎知識 大学院入学

アメリカで大学院課程を提供している高等教育機関は、約2,500大学(2008-09年) です
(出典:Digest of Education Statistics: 2010, National Center for Education Statistics)。

日本で大学院課程を持つ機関は、617 大学(出典:文部科 学省「平成23年度学校基本調査」)ですので、日本と比較すると、アメリカには非 常に多くの大学院があります。

日本と同様に、大学院は12 年間の初等・中等教育と4年間の大学教育の上に成り立っており、学士号を取得あるいはそれと同等の資格を有すれば、大学院課 程への入学が可能となります。


アメリカの大学院レベルで提供される学位は、修士号(Master’s Degree)と博士号(Doctoral Degree or Ph.D.)で、いずれも授業の履修(course work)と研究(research)の両方が必要となります。

また形体別にいうと、1)学術系大学院(グラジュエートスクール:graduate school)と呼ばれるアカデミックな学問的研究・教育に主眼をおく課程と、2)専 門職系大学院(プロフェッショナルスクール:professional school)と呼ばれる 専門職養成教育を目的とする課程に大別されます。

大学院教育の学部課程との違いは、特定の分野において自らがより専門性を深 めていくための密度の濃い指導や、学び、トレーニングの機会を提供しているこ とです。


1.大学院生のプロファイル

アメリカでは2009年度、学部・大学院を合わせて約2,040万人の学生が在籍 していますが、その中で大学院生は約290万人で、全体の約14%を占めています
 (出典:Digest of Education Statistics 2010, National Center for EducationStatistics)。

日本でも近年大学院生の数が増え続け、約27 万人(出典:文部科学省「平成23年度学校基本調査」)に達しましたが、アメリカの大学院生数と比較 するとまだ9%と低い割合です。

そのほか、アメリカの大学院生の特徴は以下の通りです。

(1) 女性の割合が多い。女性:59.9%
(2) 年齢層の幅が広く、平均年齢が高い。 平均年齢:32.4 歳(25 歳以下の割合:19.6%、40 歳以上の割合: 20.6%)
(3) 既婚率が高い。 既婚者:40.4%
(4) 働きながら大学院に通う学生が多い(assistantship などのon-campus での仕事も含む)。

有職率: 87.1%(修士課程 88.7%、博士課程 92.3%) (5) 財政援助を受けている学生が多い。 全体:73.7%  [ 修士課程 73.5%(留学生 59.9%)、博士課程 85.9%(留学生  92.7%)]

  出典:
(1)-(2) Profile of Students in Graduate and First-Professional Education: 2007?08, National Center for Education Statistics
(3)-(5) Student Financing of Graduate and First-Professional Education: 2007-08, National Center for Education Statistics


では次に、取得学位別に大学院課程を見てみましょう。

2.修士課程
 
修士課程は、通常1-2年間の課程で、修了すると修士号(Master’s Degree) が与えられます。

修士号の学位で主なものには、人文・社会科学分野の Master of Arts(M.A.)、理学・工学・応用科学分野の Master of Science(M.S.)、経営学の Master of Business Administration(M.B.A.)、教育学の Master of Education(M.Ed.)などがありますが、そのほかにも、多岐にわたる分野でさま ざまな学位名が用いられています。

2008-09 年度には、全米で年間約66万の修士 号が授与され、その半数はビジネスと教育学の分野で占められています
(出典: Digest of Education Statistics 2010, National Center for Education Statistics)。

アメリカの大学院の修士課程のしくみとしては、

①博士課程と併設され、修士 課程を終えて博士課程に進むプログラム、
②博士課程の一部に修士課程が設けられているプログラム、
③ Terminal Masterと呼ばれ修士のみで課程が修了する プログラム(専門職系大学院[プロフェッショナルスクール]が該当)、に大別されます 。

 このうち日本と異なるのは、②の「博士課程の一部に修士課程が設けられているプログラム」で、大学学部課程修了後、修士課程を経ないで直接博士課程に入学する方法もあるということになります。  

選別の厳しい大学院では、博士課程に進めそうな学生だけに入学を許可し、授業の履修( course work)を一定のレベルで修了したものの博士課程には進まない (進めない)学生には、修士号を与えて終わらせる、という場合もあります。

では、学術系大学院(グラジュエートスクール:graduate school)と専門職系大学院(プロフェッショナルスクール:professional school)の違いを詳しく見てみましょう。

1)学術系大学院(Graduate Schools)
 
学術系大学院(グラデュエートスクール)は、Academic Master と呼ばれ、いわゆる伝統的な人文・社会科学の分野における Master of Arts(M.A.)や、理学・工学・応用科学分野における Master of Science(M.S.)の学位が授与されます。

 大学院により、修士論文(thesis)が要求されるプログラムと、要求されないプログラムがありますが、前者のプログラムでは、論文提出後に口頭試問を経て、学位授与に至ることが多いようです。

一方、後者のプログラムでは一般に、論文・研究の代わりに履修すべき科目数が多く、最後に筆記理解試験(written comprehensive exam)が課される場合があります。

 学術系大学院における修士論文は、独創的な研究や方法論、フィールド調査などが重要視されます。修士課程修了には、一般的に30~60単位の授業の履修(course work)が義務付けられ、成績の平均で B以上が必須となります。また課程修了に、平均1~2年間を要します。

 専門職系大学院の分野では、修士号取得までが一般的ですが、学術系大学院の分野では博士号(Ph.D.)が最高学位としての評価を受けています。


2)専門職系大学院(Professional Schools)
 
専門職系大学院(プロフェッショナルスクール)では、経営学、法学、医学、獣医学、歯学、建築学、福祉学、ジャーナリズム、都市計画、国際関係学、環境学、神学などの分野で、専門職に就くための実践的知識や技術の養成が行なわれています。

 Professional master は、ほとんどの分野で、'terminal' master program とされ、博士課程まで続くことはなく修士課程で終了します(注:少数ですが博士課程に進学する場合や、医学系などは博士課程が主体となります)。このような terminal master の学位は、分野ごとに特定の学位名称がつけられることが多く、代表的な例としては、Master of Business Administration(M.B.A.)、Master of Social Work(M.S.W.)、Master of Education(M.Ed.)、Master of Fine Arts(M.F.A.)等があげられます。

これらのプログラムは、学術系大学院とは異なり、実践的な知識の応用を重要視しているため、プログラムはより体系化され、学生は共通科目の多いカリキュラム履修を要求されます。

 課程修了には、36~48単位の科目の履修(course work)が義務付けられ、一般に修士論文は要求されません。成績の平均で B以上が必須で、分野やプログラムによっても異なりますが、平均1~3年で終了します。プロフェッショナルスクールでは、学士号での専門分野の一致を必ずしも求めませんが、その分野での実務経験や基礎的知識を有することが重要視されます。

 たとえば経営大学院( ビジネススクール) は、入学にあたって一般に3年以上の 実務経験を要求しているところが多いようですが、実際にM.B.A. の学生の特徴を見ますと実務経験(学士号取得後、修士課程に進学するまでの期間)は、1年以内8.5%、1-2 年31.2%、3-6年28.7%、7年以上31.6%となっており、学生の平均年齢も32.2歳となっています
(出典:Profile of Students in Graduate and First-Professional Education: 2007?08, National Center for Education Statistics)。

 
3.博士課程
 
博士課程は通常5-8年間の課程で、修了すると博士号(doctoral degree)が与えられます。博士号の学位で主なものには、Doctor of Philosophy(Ph.D.)や Doctor of Education(Ed.D.)があげられます。Ph.D. はリサーチドクターと呼ばれることもあり、原則として学生独自のオリジナルな研究とそれに伴う博士論文の提出が要求されます。

しかし、自然科学・工学系の分野では、ほかの分野と比較して早い時期から数人の大学院生と共に指導教授が行っている研究プロジェ クトに携わり、その研究に基づいて論文を執筆する場合もあります。

 2009年度、アメリカでは49,562の博士号が授与されました。留学生(学生ビザ保持者)は14,567名、そのうちの日本人は257名でアメリカを除いた国のうち第7位となっています。

 博士号取得分野は、理工系分野〔生命科学(23.4%)、物理科学(17.3%)、工学 (15.7%)〕に多くなっています。博士課程で専攻する分野が、学部課程の専攻と同 じ学生は、約半数で、分野別には工学・物理科学系に多く、逆に教育学では、専 攻を変えて博士号を取得する学生のほうが多くなっています。

また博士号を取得 する学生の約7割は修士号を取得していますが、生命・ 物理科学分野の学生は、 他分野と比較すると修士号を取得していない割合が多くなっています。

 博士号取得までに要した時間は、平均で大学院課程に入学後7.9年間、大学学部課程修了後では9.7年間となっています。分野別には、教育・人文・社会科学系の分野での学位取得に要する時間のほうが、工学・自然科学系の分野より長くかかる傾向が見られます。

また、博士号候補生〔Ph.D. Candidate または ABD (All But Dissertation)〕となった学生のうち、実際、博士号取得に至ることができた学生はその約半数といわれています。

博士号取得までに要した時間(年数)全体平均生命科学物理科学工学社会科学教育学人文科学その他文系
学部課程修了後9.78.67.37.79.316.211.512.3
大学院課程入学後7.96.86.46.77.712.49.39.7

出典:Doctorate Recipients from United States Universities : 2010, National Opinion Research Center

博士課程に入学する学生は、将来、教育職・研究職を志すのが一般的ですが、 学位取得後、民間企業に就職したり公的機関で働いたりする場合もあります。

 先にも述べた通り、アメリカではプログラムにより、大学の学部課程を修了後、 修士課程を経ず、直接博士課程に出願することが可能です。博士課程に入学した 学生は、定められた量(通常3-5年間)の授業の履修( course work)や研究を 修了後、学生の総合的な学力や専門知識・研究能力を審査するための試験 (comprehensive examinationまたは qualifying examination)を受験します。

この試験に合格して初めて博士号の候補生( doctoral candidate)となることが でき、その後、博士論文( dissertation)執筆のための研究に取りかかります。これらのプログラムでは、一定数の単位を取得した時点で、修士号を取得する場合 とそうでない場合があります。

 一般的に博士号候補生となる学生は、自らが研究テーマを選択し、研究計画を 立て、実際研究を行えるだけの能力や知識があることが期待されます。指導教授 (academic adviser)は、学生が行う研究に対して、意見を述べたり、研究が誤っ た方向に進んでいる場合に示唆を与えたりすることで指導しますが、あくまでも 研究を行う学生の主体性が重んじられます。

4.大学院の単位互換
 
大学学部課程と異なり、アメリカの大学院は、各校ごとに独自のプログラムを設けているため、たとえ同じ専攻分野でも大学院間の単位の互換性は低く、大学院によっては他大学の単位を全く認めない場合もあります。(例外的に、Intercampus / Cross-Enrollment Programs を設置している大学院では単位互換が行われています。

日本で修士号を取得している場合も例外ではなく、日本の大学院で取得した単位が、アメリカの大学院の単位として認められるケースは多くありません。

 さらに、各大学では、residency requirement を課し、「修士号・博士号の学位取得予定大学に一定期間以上在籍、または最低限の単位の履修」を学位取得の条件としています。また、学位取得までの修学期間に制限(degree time limit / time limitation for degrees)があることにも注意が必要です。

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